「死んだ人は、光の玉になって空に消えるんだって」
「そんな訳ないじゃん」
「私は信じるよ!」
「じゃあ、私は信じない」


────死んだ者は光に包まれて丸い光になって空へ旅立つ────

これは、昔からの言い伝え。
だが、今を生きる鬼呪神城村の人々はこの現象を見た人はいない。


鬼呪神城村は地図に存在しない村であり、知事や大臣でさえも知らない村。



呪いが解けてからのこの村は活気が戻り平和になった。
作物は豊作、自然豊か。
人々が憧れるような村なのだ。
だが、町や都市には程遠い位置に存在しているため、1年中村で過ごすのだ。これに関しては都市に行く事は村人にとっての夢なのだ。



「瑞葉様は信じるのかな?」
「さあ……。でも、瑞葉様だからなぁ…」
「うーん」
「どうしたの?」
「瑞葉様っ!」
瑞葉様とはこの村の姫。いわゆる村長。
この村に掛かっていた呪いを解いた張本人だ。
「瑞葉様はどうお考えになられますか?」
「なにが?」
「亡くなって行った人々は光の玉になって空に消えていくっていう不思議な話」
「あ、私もそれ知ってるよ!」
「本当ですか?」
「うん!呪いに覆われてた頃は光も何も無かったみたいだけど…。今は呪いに覆われる前に戻ったからね!」
「瑞葉様はどっちなんですか?」
「信じますか?信じませんか?」
「うーん。…私は見た事ないから分かんないけど、信じたいかな」
瑞葉様は笑って見せた。
「ですよね!」
「咲優良(さゆら)ちゃんは違うの?」
「…」
「咲優良はね!天邪鬼なんだよ!」
「天邪鬼じゃないもん!」
「咲優良ちゃんと美成音(みなね)ちゃんは仲良くていいなぁ」
「瑞葉様も亜沙飛様と仲がいいと思いますよ?」
「うんうん!」
「…ありがとう!」
瑞葉様は私達を撫でてくれた。それだけで私も美成音も嬉しかった。