「……あっ!初めまして〜!あなたが春歌ちゃんね!」
「……は、初めまして…………。」
そう、帰ってきたのは黒瀬のお姉さんの黒瀬 優里さん。
黒瀬に似てすっごく美形で、サラサラミディアムの黒髪もめちゃくちゃ綺麗。
「うわー!さっすがアリスの妹なだけあるね!超美少女じゃん!これなら、皐月も好きにな………」
「……姉貴。」
優里さんがきゃーきゃーはしゃいでいると、後ろからとんでもなく低い声が聞こえて。
“ドスッ”
「ゔッ…………」
聞いたこともないような鈍い音がした。
「う、うわ………!だ、大丈夫ですか!?」
今の………恐ろしかった…………。
黒瀬がお姉さんの優里さんに華麗なグーパンチをお見舞いしたのだ。
多分、ていうか絶対本気じゃないと思うけど、さすがに女の子相手にそれはないでしょ!
すると優里さんは、特に痛がる様子もなく、余裕な調子で、
「いやいや、ぜーんぜんこんなの慣れてるし。」
と呟いた。
えぇ!?
それに慣れてるお姉さんもまた恐ろしいですね……。
優里さんは平気な顔でにこりと微笑んだ。
でもその直後、優里さんの目は黒瀬に向けられ……。
…………ニヤリと不敵に微笑んだ。
「春歌お嬢様ッ!目を瞑ってください!」
遠くから明野さんの声が聞こえる。
と、その瞬間。
“ドンッ”
とまた鈍い音がして、さっきまでそこに殺気たっぷりで優里さんを睨んでいた黒瀬が、床に倒れ込んでいた。
「……あ~……………」
明野さんはやれやれ、というような顔で去って行く。
………え?
なに?今のこれ現実?
だって、目の前には勝ち誇った顔で黒瀬を見下ろしている優里さんと、苦しそうに顔を歪めてうずくまる黒瀬がいるのだから。
立場……逆転してます??
優里さんは、もう一度私に優しい微笑みを向けて、
「見苦しいところを見せてしまったわね。ごめんなさい。こんな弟だけど、よろしくね?」
と言って、颯爽と去っていった。
黒瀬は「あの野郎……」と拳を握りしめている。
えっと…………………
お姉ちゃん強すぎません??
まさかあの運動神経抜群の黒瀬を一発でこんなにするなんて、あり得ないとしか言いようがないでしょ。
しかも、みんなも慣れてる感じだったし。
もしかして、これ日常茶飯事!?
私はあ然とした。
…………優里さん、恐るべし…………………。

