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「失礼します。」
「皐月様、ご夕食のお時間でございます。」
「……あぁ、すぐ行く。」
?????
「春歌お嬢様も一緒にいらしてくださいね。」
???????????
「……………は、はぁ…………」
あれから数十分。
黒瀬といつもの喧嘩的なやりとりを交わしていた最中。
いきなり部屋の扉が開き、二人の、若くて綺麗なお姉さんが入ってきた。
皐月より年上なのに敬語。
しかも、超お上品。
これがいわゆる“メイド”ってやつか。
お姉ちゃんが言ってたとおりだ。
私、お嬢様とか言われちゃったし。
なんか、恥ずい。
少しうつむき気味に黒瀬のあとをついていく。
さっき登った綺麗な螺旋階段を軽快に降りていく黒瀬と、ぎこちなく降りる私。
凄く緊張する。
手すりに捕まって、一段ずつ降りていく私を黒瀬は鼻で笑いやがった。
あんのバカヤロー。
こっちはこんなの初めてなんだし。
やっとのことで階段を降り切る。
黒瀬は、だいぶ先に降りてたけどわざわざ待っててくれた。
こういうところは優しいけどね。
「ありがと。」
小声でそう呟いてみると。
「………行くぞ。」
黒瀬はふいっと顔をそむけ、足早に歩き出した。
うっわ、照れてるんだー。
やば、可愛い。
…………なんて、言ったら殺されるだろうけどね。
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「春歌お嬢様、初めまして。わたくしは黒瀬家の使用人の明野(あけの)でございます。何か御用がありましたら、何でもお申し付けください。」
「……あ、ありがとうございます。」
す、凄い迫力………。
なんか、使用人のリーダーっぽい明野さんの威圧感がハンパない。
この家の使用人は5人。
料理担当、掃除担当、その他家事担当。
その他家事担当は明野さんだ。
さっき呼びに来た二人の若くて綺麗な女性は料理担当らしい。
それにしても、この料理美味しすぎる。
高級料理店に来たみたい。
とにかく、凄いなこの家。
何もかもが、格が違い過ぎる。
本当にこんな家に2年間も住んでいいのだろうか。
あ、もちろん黒瀬との同居を了承した訳ではないので。
今でも信じられないし。
てか、信じたくないし。
これからどうなって行くのだろう。
私の胸は、そんな不安と心配でいっぱいだった。

