「……あんたの質問、つまんないんだけど……」


「はぁ?」


気をつかう大物アーティストならまだしも、デビューしたばっかりのバンドに、そんなセリフを吐かれたことは、一度だってなかった。


「悪いけど、おもしろくもないから、もう答える気はないから」


と、吸っていたタバコをギュッと灰皿にもみ消す。


「そんなこと言ったら、記事が……」

「資料でも見て、適当に書けば?」


言って、席を立つと、レコーディングスタジオにとっとと入って行ってしまった。


「あっ…ちょっと、待って!」


呼び止めるが、男は振り向きもしなかった。