「キリト、スタジオ入りの前に必ず病院に、行ってね…」

「ああ、わかった…行く」


バイクで、家の周辺ぐらいに送ってもらって、キリトと別れた。

彼は私のマンションまで送ってくれると言ったけれど、どこに誰の目があるかもわからないからと、断っていた。

キリトを、どんなことがあっても、今日のようなトラブルには、もう巻き込みたくはなかった。

第一印象は最悪だったのに……もうこんなにも彼を好きになってるなんて……

遠ざかっていくキリトのバイクのエンジン音を聞きながら、私はわけもなく高まって、早まる胸に手をあてた……。