シュウがいなくなると、キリトが「はぁー…」と、長い息を吐いた。


「……大丈夫だったか? アヤ…」

縛られていたのをナイフで切って、

「痛かったろう……?」

と、付いた痕に口づけた。


「俺のために、ごめん…アヤ…」

イスの傍らにひざをついて、キリトが私を上目に見つめる。


「いいよ…キリト……私は、大丈夫だから…。

……それより、あなたのナイフの傷の方が……」


血だらけの彼の手に目をやると、

「ああ…ちょっと痛いかも…そう言えば……」

と、力なく笑って見せた。


切り刻まれた彼の手の平に、持っていたハンカチを巻き付けた。