キリトがシュウに飛びかかり、ナイフを奪おうとする。

2人で揉み合う内、シュウの突き出したナイフの刃を、キリトがつかんだ。


「離せよ…キリト…」

シュウがつかまれたナイフの刃を、引き戻そうとする。


「離さねぇよ…」

刃を握りしめているせいで、キリトの手からは血がポタポタと垂れ落ちて、思わず目をそむけた。


「その手が、使い物にならなくなっても、いいのか……」

「いい……手が使えなくても、声があれば、歌える……」


言って、キリトが強い力で刃を握りしめると、

抵抗して柄をつかみ直そうとするシュウの手から、

力を込め、グッとナイフを引き抜いた。