私の知らなかった恋の世界

教室で、しばらく座ってぽーっとしていた。

「あっ!もうこんな時間だ!帰ろう」

自転車置き場まで歩いてきたところで、

ダム、ダム、ダム、、、、

体育館から、音が聞こえてきた。

自転車置き場から、体育館が見える。

音につられてふと見ると、そこには、渡瀬くんの姿があった。

無意識のうちに少し体育館を覗くように体が動いていた。

ゆるっと着たTシャツにダボっとしたバスパン。

ふわっと飛ぶと、手からボールが放たれて、スパッとゴールにボールが吸い込まれていく。

なんだか、息を止めて見入ってしまった。

(すごい。)

その後も仲間と笑いあいながら、ドリブルをする姿を見て、なんだか胸の中がほわぁっとした。

ふと我に返って、覗き見ていることが恥ずかしくなり、すぐに自転車に乗ってその場を後にした。

帰り道、何度もあのシュートを決めた渡瀬くんの姿が頭に浮かんでいた。

この時は、このふわっとした気持ちが何なのかなんて、考えもしていなかった。