優しい先輩と俺様と私。



お母さんがパートから帰って来て、社を見るなり「ご飯食べていきなよ」と誘い、今日は天ぷらを見て社は目を輝かせていた。


天ぷらは芋とちくわしか出てこないって文句言ってたけど、お母さんだって暑い中作ってくれてるんだからそんな事言うなって怒っておいた。


それから部屋で休憩して、近くの公園まで出掛けた。



袋を広げて花火を取りやすくしたし、コンクリートにロウソクくっ付けたし、準備オッケー。


「花火、何からする??」


「……悩み中」


「じゃ、私、これ2つ」


同じ花火を手にとって、火を付けた。


「何で、2本なんだよ!!危ないだろ」


私は円を描くように花火を回して、はしゃいでいたら「ガキ!!」と叫ばれた。


「いいじゃん、綺麗だし」


黄色から青、紫の火花を散らしながらシュッと消えた。


「花火って消えるの早いよねぇ」


「それくらいがちょうどいいんじゃねぇの??ずっと見られてても飽きられる。綺麗な物は自分の綺麗な時を見せて、散っていく。だから、また見たいって思わせるんだよ」


「……あんたもそんな事思うんだね」


「桜とか花火見てたらそう思うだけだ」


社も花火を取って、火をつける。


線香花火に似た火花を散らし、パチパチと弾ける音をさせる。