優しい先輩と俺様と私。



手ぬぐいを外して、触られていた手首を見ると


「……何これ、可愛い……」


花のビーズが通されたブレスレット。


「やるよ」


社が私に!?


「……貰えない」


「何で」


「貰う資格ない。だって、付き合ってないし、こんな気持ちのまま貰えない」


「そんな事か、気にするな。……俺があげたいからそうするだけだ。だから、貰っとけ」


社はニコっと笑って、私の頭を撫でた。


こんな可愛いブレスレットどしたんだろう。


社が選んで買ってくれたのなら、あまり拒否するのもよくないか……。


「……あ、ありがとう」


「おう」


「は、はい!!次、あんた!!スイカ割れてないと食べれないでしょ!!」


棒と手ぬぐいを押し付けた。


「わかったよ」


社も目に手ぬぐいを巻きつけて、10回回った。


「あんた、ちゃんと私の声聞こえてんの!?」


フラフラ、あちこち行くから痺れを切らして叫んでしまった。


「お前の声しか聞こえてねぇわ!!ちゃんと指示しろ!!」


これじゃいつまでたっても終わらない。


私は社の背中を押して、スイカの前まで行かせた。


「ここ!!叩いて!!」


「……あぁ」


スイカは見事に割れて、それを見ながら

「私達、スイカ割り向いてない」

「そうだな」

ボソッと呟いた。