「僕、髪乾かすからうるさかったらごめんね」
「いえいえ。好きなだけ乾かしてください」
「さっきから気使いすぎだよ。もっとリラックスしてね」
なるべくそうしたいんですけど、なかなかできません。
先輩は机に鏡を置いて、髪を乾かし始めたのはいいけど仕上がりが……ボサボサ。
「先輩、貸してください……。……私がやります」
「やっぱりボサボサだよね。 これで寝ると不思議な事に綺麗にまとまってるんだよ」
ヘラっと笑って、ドライヤーを私に「はい」っと渡して鏡に向き直った。
先輩の綺麗な髪はある意味寝癖だったんだ。
ーー……って、言ったもののこの髪に触れるのか……。
手の震えをおさえてスイッチを入れるとドライヤーが稼働して先輩の髪に風が当たった。
先輩の髪にそっと触れると、やっぱり柔らかくてサラサラしている。
手ぐしで髪をすいて整えると元の先輩に戻った。
