「……なぁ、野波。そしたら俺はどうしたらいい……。どうしたらあいつを笑顔にできる?」
野波は前髪をかき上げ、チッと舌打ちし、俺を睨み付けた。
「あんたも先輩も藍美も相手のこと考えるのはいいけどさ、それでも辛い思いさせるんだったらもっとわがままになれって話よ。
高原先輩も社も藍美が好きなのはいい。
けど、藍美を泣かせるな。
私は話し聞いてあげることしかできないんだよ。
あんたらは藍美を甘やかせたり、安心させてあげれんだろ!!
私だってあの女や高原先輩にまとわりつく女を黙らせたいけど我慢してんだよ!!
わかれよ!……ばか」
捲し立てるように話して、肩で息をする野波の目に涙が浮かんできた。
こいつもいろいろ我慢してたんだろうな。
野波なりの守り方で今まででこ丸を守ってきたんだ、
大事な友達傷つけられて話を聞くしかできないって。
本当なら俺らをボコッてでもでこ丸に近付けないようにしたんだろうけど、今回はそうもいかないのか。
こいつまで泣かして何やってんだろう、俺。

