優しい先輩と俺様と私。



「それと、あんた私がここに来たこと藍美に言うんじゃないよ」

「あぁ、わかってるよ」

「それならいいんだけど」

こいつがここまで来たってことはでこ丸の奴、相当参ってんだろうな。

「……あいつ、どうしてる??」

「正直見てられない。笑っててもちゃんと笑えてない」

「俺のせいだよな」

野波は俺に指を指して大声を出す。

「あんたと高原先輩とあの女!!」

「すいません。……でも、わかんねぇんだよ。あいつ俺に何にも言わねぇし」

「はぁ!?何言ってんの、あんた!!言えるわけないでしょうが!!
もう、いい……藍美は私が守るから」

部屋から出ていこうとする野波の腕を掴んで、もう一度座らせた。

「おい、そんな怒んな。お前ら唐突過ぎるから話が見えないんだよ。でこ丸は、お前に何て言った?」

「……ごめん」