ため息をついていると野波が俺の方をじーっと見て
「あんたもしかして、ど…」
「ばかっ!!!女がそんな言葉使うな!!!」
「まだ何も言ってないし。あんた…キスくらいはどうなの?」
ニヤニヤしながら聞いてくる野波がおっさんに見えるのは俺だけだろうか。
「……そこ疑うな。そこは初めてじゃない」
「だったらこんなくらいで騒がないでよ」
パシッと頭をはたかれた。
「ばかやろ、俺だったからよかったんだろうが。他の男だったらお前危ないぞ」
「私、強いし」
「だったとしてもだ。あんまそんな格好するな。わかったなら早く着ろ」
「ったく、わかったよ!!」
ブツブツ文句言いながら俺のTシャツを着て、これでいいでしょ!と大袈裟にはぁーっと息を吐いた。
こいつ本当にわかってるのか?
いくら強いからって男に敵わない時だってあるだろ。
俺はこいつの心配までしないといけないのかと思うと胃がキリキリと痛んだ。

