「松下さんが僕を今でも好きだって言ってくれて嬉しいよ、ありがとう。でも君が浩輔君を大事にしてる気持ちは壊さない。それをしてしまえば君はまた悲しむから」

「…先輩は優しすぎますよ」

先輩は優しく微笑むだけで、何も言ってくれなかった。

愛想尽かしてお前なんて最低だって見限る事もできるのに。

「…そうだ。僕の携帯壊れちゃって新しいのにしたんだ。女の子達には何も教えてない。紙に書いておいたから連絡してね。…絶対だよ」

「はい」

先輩から四角い小さなメモ用紙を受け取った。

先輩の書く字はやっぱり端正で綺麗な字だった。

先輩が私に会いに来てくれた事は今日にでも女の子たちに広がっていると思う。

だからもし何かあったら絶対に連絡してってことだよね。

「…松下さん。…もう一度抱きしめさせて…」

先輩は私の返事を待たずに私を抱きしめた。

これで3度目。

緊張はしてるけど、凄い心地が良い。

私はそっと先輩の腕に手を置いた。