「…だから、私は先輩を裏切ってる。…先輩に嫌われたくない、先輩に好きでいてもらいたいって…でも好きな気持ちを消さないと先輩と一緒に居られなくて、それもできなくて…」
私、言ってる事がめちゃくちゃだ。
潤む視界。
流れ落ちてくる涙を手の平で拭った。
「松下さん…本当にごめん。…ごめんねっ」
先輩はまた私を抱きしめた。
…さっきとは違う、強い力で。
「…僕が君から離れても笑顔でいられないのなら僕が全力で松下さんを守る。もう、2度と同じ過ちを繰り返さないから。…松下さんが大好きだから…。君の為なら何だってする覚悟だよ」
「…真尋先輩」
先輩の力強い言葉、本当に嬉しい。
先輩がくれる言葉１つ１つが私の体を満たしていってくれている。
「だから、教えて欲しいんだ。…岬に何を言われたのか。岬が浩輔に言い寄ってる1年の松下藍美に諦めさせないと気が済まないって言ってたから…」
言い寄ってる??
全然話が違う。
安未果先輩の事だから嘘並べて、自分に味方をつけて私を陥れるつもりなんだ。
社が学校に来てないのも気になるし、もしかしたら社にも同じような事言ってるんじゃ…。
