そうだ。あと、これと言いながら財布を尻ポケットから取り出す先輩。

「さっき使わせてしまった600円。返すね、ありがと」

「そんな、いいですよ。受け取れません」

先輩に返してもらう理由がないし。

「ん〜。そうゆうわけにはいかないんだけどなぁ。じゃ、何かお礼させて貰えないかな??」

「そんな、とんでもないです!!」

「困ったなぁ…」

「先輩、本当にいいですから。私、帰りますね」

「ちょっと、待って。僕と一緒に来て」

先輩は私の手を握り、走り始めた。

私はなるべく下をむいて連れられるまま走った。

いったい、どこまで行くんだろう。