下校時間になり、社は先輩に半ば強引に引っ張られ一緒に帰って行った。


教室に1人取り残されて、やり場のない気持ちをため息に変える。


「藍実」


「李歩……」


李歩は社の椅子の向きを変えて座り足を組んだ。


「ねぇ、さっき社に何言ったの??」


「あぁ、さっきの??あんたの気持ち知ってんだよ。そんな態度とっていいの??って言っただけ。社なりに解釈したんじゃない??」


李歩は意地悪く笑った。


「何て、……解釈したんだろうね」


「藍実。……無理して笑わなくていいんだよ。今のその顔は泣きたいって顔してる」


優しい声の中に心配してるって気持ちが伝わってくる。


口を結んでこらえようと我慢して俯くと、ボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちた。