「大丈夫ですっ！ 僕らなら、なんとか出来ます！」
強いまなざしをインターホンへ向けて、思いを伝えるカエデ。
その熱に負けたのか、扉からガチャリとカギの開いたような音が聞こえた。
「入るよ…！」
まるでボス戦に挑むかのような緊張感に包まれつつも、ソウスケの掛け声で一斉に中へと入った。
「二階、上がってください。多分、アンナは居ますから」
玄関で待ち伏せていたエプロン姿のお母さんに案内され、私たちは階段を上る。
「ここ…かな？」
二階に着き、最初に目に入った一番手前の部屋をノックしてみる。
「…誰？ お母さん？」
聞こえてきた声にトゲはなく、負の感情で苦しんでいるとは、とても思えない。
