「あ…もしかして、これ?」


そう言ってポケットから出したのは、ペラペラでひらひらとした極薄のスマートフォンらしきもの。


私が知っているスマートフォンとは比べものにならないくらいに薄い。


そういえば、そうだった。


この世界のものは全て、紙で出来ている。


謎の解読に夢中になりすぎて、一番肝心なことをすっかり忘れてしまっていた。


「うん。まあ、使ったことはあるけど、指先が勝手に動いているだけような感覚で…自分でも、何をしようとしているのか、全く分からないまま操作しているっていうか…」


ソウスケは手に持った自分のスマートフォンを私に差し出す。


まるで、君になら出来るかもしれない、と信頼をよせるように。