「それもそうか。南がここに来た明確な理由さえも分かっていないから、作者までこの世界にいるとは限らない」


ソウスケが解けない謎が、私たちに解けるはずがない。


たった数時間の出会いだが、それだけはなぜか確信出来た。


結局、この問題は振り出しへと戻ってしまった。


誰も何も言わなくなって、重たい沈黙が続く。


「そういえば…」


私も解読に手伝おうと数時間の過去を振り返っていると、ひとつの疑問を思い出した。


「カエデはこの校長室に入ってきたとき、『君たちなんでここにいるの!?』って聞いたよね。あれは、どういう意味?」


「君」だけなら分かる。


私を…3次元という存在を、一番嫌っていたのだから。


でも、カエデは「君『たち』」って言った。


つまり、ソウスケやタイガも含まれているということになる。