《宇美》




淳が「おはよ」って返してくれた



それがすごく嬉しかったし安心して、思わず笑みが溢れてしまう



昨日はあれから結局一睡もできず、ずっとベッドの上で自分の大胆すぎる行動を思い出しては、何とも言えない気持ちでバタバタしていた



そのおかげで、母親からはとうとうおかしくなったというような、冷たい視線を向けられた



家にいても落ち着かないから、今日はいつもよりうんと早く家を出て、学校の図書室で友達が登校するまで待機していたんだ



淳が教室に来るまで本当に心臓バクバクで、もう今までみたいに喋れなくなったらどうしようって気持ちで不安だった



だから、少しぎこちないながらも返事を返してくれたことが本当にうれしかったの




「………宇美、ちょっといい?」



何かを感じとったのか、少しニヤニヤした聡君から呼ばれ教室を出て、比較的人通りの少ない廊下の隅にやってきた