海斗君は何も言わず不満げな顔で聞いている。

あたしはそんな海斗君の正面に立って “最後に一つだけ聞いて!” と言った。


「海斗君……あた…むぐっ!?」


『あたし海斗君のことが好きです』って言おうとしたあたしの口を海斗君が手で掴むようにして塞いだ。


え!ちょっと、今めっちゃいいところだったのに!
なんで止めるの!?


あたしは海斗君の手に必死に抵抗して逃げようとするけど、海斗君も手を絶対離そうとしない。


「それ以上言うな。」

「 にゃんで言わひぇてくれにゃいにょー!
(何で言わせてくれないの!)」

「聞きたくないからだ。だから黙ってろって!」


で、でもあたしは言わずには帰れない!
なんでそこまで止めようとするの!?



無言のにらみ合いが続いていたその時…。