「紗菜!」
その時遠くから声がした。
え、この声は…。
初めて名前を呼ばれた声だけどこの声を聞き間違えるはずがない。
声のした方を見ると、海斗君がこっちに向かって走っきている。
なんで海斗君がここに…?
海斗君は荒い息をしながら村田を睨む。
「村田、その手離せ。」
そう言って海斗君はあたしの腕を強く引っ張って、手を離させた。
「安藤ほっといて他のやつと花火大会に行ったやつがどうしてここにいるの?」
村田がいきなり挑発的な声で言って、海斗君が悔しそうな顔をする。
ちょ、ちょっと村田!
何言ってるのよ!

