なんでこのタイミングなの…。
それにこんなに優しかったなんか聞いてないよ。
村田のこと大嫌いだった時に、海斗君と喧嘩する前に、好きになる前に、告白してくれてたら何も考えずに傷つけられたのに。
今は本気で相手を好きになる辛さが分かるから、村田に酷いことを言って傷つけることができないし、そんなことしたくもない。
「ありがとう、告白してくれて。
でもあたしも本気で好きな人がいるの。
だから村田の気持ちにはこたえられない。」
「…そっか、なんとなく分かってたよ。
でも!もし何かあった時は今度こそ俺を頼ってほしい。
俺ももう酷いこと言ったりせずに、いいヤツになるから。」
ほんと村田も変わったなー。
最初からこんな性格だったら今以上にモテモテだったろうに。
この村田ならすぐに、あたしなんかより何倍もいい彼女が見つかるよ。
あたしは自分の右手を村田に差し出した。
仲直りと友達の印として。
初めは戸惑った村田だったけど、最後は微笑んで手を握り返してくれる。

