この言葉は嘘じゃないって分かってた。
分かってたんだけど、今のあたしはモヤモヤしてて村田にそれを全部ぶつけてしまった。


「それもどうせ嘘なんでしょ。
だってあたしが告白したとき言ってたもんね?
“見た目がブスなやつとは付き合わない。” って。
自分がブスなことぐらい知ってるよ!
だから好きな人ができても上手くいかない。
村田はあたしが変わったから、モテたいからそんなこといってるんでしょ?」


こんなことしか言えないあたし。
だから海斗君にも嫌われちゃうんだよ。



村田は驚いて固まっているのかなと思ったら、勢いよく腰を90度以上曲げて謝ってきた。

「ごめん!あの時安藤のこと何とも思ってなくて、安藤の気持ちも考えずに傷つけた。
でも安藤が可愛くなっていって、話すうちにだんだん惹かれていって本気で仲良くなりたいと思って…。
とにかく最低なことをして本当にごめん!」


なんだか村田が弱々しく見えた。
こんな村田を見ているとフッてやると思っていた自分が馬鹿馬鹿しい。
憎もうにも憎めないじゃん。


今の村田はそんなに嫌いじゃない。
それにいつも優しい村田よりもむしろ今の村田の方があたしはいいと思う。