その時、誰かが走ってくる音が聞こえてきた。
その足音が段々こっちへ近づいてくる。


まさか、海斗君?
そう思って顔を上げるとそこにいたのは……






村田だった。

え、どうして村田がここに?


「やっと見つけた。」


村田がハアハアと荒い息をしながら言う。
もしかしてずっと探してくれてたの?


「どうして…。」

「またそんな顔してる。何があったの?
今度こそ話してくれないかな?」

「大丈夫だよ。全然なんともないから。」

と言ってパッと顔をそらして涙を拭いた。



「強がるなよ!」

いきなり村田が大きな声で言って、あたしの肩がビクッと震える。


いつも余裕そうでみんなに優しい村田じゃない…。
今は顔を歪めて辛そうな顔をしていた。


「怒鳴ってごめん。
でも安藤に頼って欲しいんだ。
一人で悩んで傷ついてほしくない。」

村田は俯きながら言う。