走って走って走って、ここが何処か分からなくなるほど無我夢中で走っている時、急に足の支えがなくなって “転ける!” と思った時……




…にはもう遅くてベチッと盛大に転んでしまった。

もちろんあたしを支えてくれる人が現れるような展開はあたしにはない。



足を見ると所々皮が剥けて痛々しいことになっている。
はぁーとため息をついて下駄を履こうとしたら、下駄の鼻緒が切れていた。


「……うぅ…っ。」

今になって涙は出てくるし、もう何もかもが嫌だ。


自分に腹が立つ。
なんでもっと早く海斗君に自分の気持ちを伝えなかったのよ!
今さら後悔しても遅いよね…。


立ち上がって周りを見るとそこは公園だった。
もちろん誰もいない。


ここなら人目を気にしなくてもいい、自由だ。


あたしは使い物にならなくなった下駄を持って裸足で公園へ入り、溢れる涙を我慢も拭きもせずに歩き回った。


でもどれだけ泣いたり自分に怒ったりしても、ちっとも気持ちは軽くならない。


辛い…。今のあたしにはこの言葉しかない。
こんなことになるなら海斗君のこと好きになるんじゃなかった。