「ちょっ、ちょっと!どこいくの!?」
あたしが叫ぶと村田はようやく止まって、あたしの手を離した。
「さっきどうしてあんな顔してたの?」
村田は真っ直ぐあたしの方を見て、優しく聞いた。
「だから何もないって…。」
“そっか…。” と村田が悔しそうな顔をして言う。
どうしてそんな悔しそうなの…?
いつもと違う村田にこっちが変に焦る。
「この前の返事聞かせてもらってもいいかな?」
村田が真剣な顔で言う。
この前の返事……花火大会のことだ。
最初は断るつもりだった。
でも海斗君は行くんだよね…?
だったら……
「うん、行きたい。」
「え、それほんと…?」
あたしが “うん” と頷くと村田はやった!と言ってガッツボーズをしている。
そんな村田とは反対にあたしの心は沈んでいた。
海斗君はあの子とどんな話するんだろう?
あの子は海斗君に告白するのだろうか?
じゃあその返事は?
という疑問が頭の中を埋め尽くす。