「紗菜ちゃん、今日も可愛い!
その髪型どうやってるの?」


最近は出来る髪型が増えてきて、それをクラスメイトの女の子たちが褒めてくれる。
あたしはそれが嬉しかった。


でも今は何を言われても全然嬉しくない。
本当は嬉しいはずなのに素直に喜べない。


また今日も作り笑顔で “ありがとう” と返事をする。




はぁー、こんなんじゃダメだな。
トイレに行って顔でも洗ってこよ。

そう思ってあたし椅子から立ち上がった。


「紗菜どこいくの?」


小春が心配そうにこっちを見ていた。

あたしが “トイレだよ” と言うと小春は


「じゃああたしも着いて行くよ♪」

と明るく言う。
きっとあたしを気遣ってくれてるんだ。


でも今は、今だけは一人にしてほしい。


「トイレに行くだけだから大丈夫だよ。」


と言うと小春は

「そっか、わかった。いってらっしゃい!」


と何も聞かずに笑顔で手を振ってくれる。