彼はフワリと私の上から飛び退くと、落ちた本とバスタオルを拾い上げる。

パサリと私にそれを投げ掛け、ニッと笑って一言。

「腹、冷やすなよ?」

ポフッと頭を一撫でし、私に背を向けてしまった。

「ふああ……ねみっ」

これ見よがしに欠伸をひとつ、ウーンと伸びをしながら、サッサと自分の寝室へと歩きだす。


「てっ…哲さんの……バカァッ‼‼」
 
慌てて起き上がった私は、真っ赤になって罵声とさっきのプレゼントを投げつけた。

しかしその頃には、彼の大部分はもうドアの向こうに消えている。
ヒラヒラと振る手だけが隙間から見えた。

くそっ
哲さんなんて
哲さんなんて……………


「大っっっ嫌い!」


パタン。


閉じたドアにボスンと当たった
新品のパジャマと
真っ赤なリボンが落ちて
儚く床に散らばった___