「ねぇ、知ってる?」





「あい。」


そのやけに温かい声にゆっくり顔を上げる。


そして居るはずの無い彼の姿に安心してまた涙が止まらなくなる。


「ぅ、…、うぅ」

「少しは反省した?」



ソファーに三角すわりをしている私の正面にしゃがみ目線を合わせる彼。


その表情はさっきとは打って変わってすごく穏やか。




「…な、ん…康平く、ん…ど、うして、」




「…泣いてたの?」


「うん、」


「俺が出て行っちゃったと思って?」


「…も、もう帰ってきてくれないと思ったよ〜…」


とまた泣き始めてしまう私。


すると少し困ったように眉を下げて微笑んで、私の涙を拭いてくれる康平くん。私はいつも彼を困らせてばかりかもしれない。


彼はどこまでも優しい。