「ねぇ、知ってる?」




「う、ぇ…うぅ……っ」


頭の痛さを忘れてしまうほど、痛む胸に比例して流れる涙。



朦朧とする意識の中、康平くんの笑った顔、照れた顔、怒った顔、寝ている顔がずっとぐるぐるループする。



リビングを見渡せば康平くんとの思い出がいっぱいで辛くて、私はソファーの上で何も見えないよう三角座りをして顔をうずめる。




この部屋で喧嘩した日、一緒に料理した日、キスした日、ゲームした日。全部思い出して涙が止まらない。




このまま本当に康平くんが帰ってこなかったらどうしよう。





すると肩に感じる違和感。




「い、…あい、」



頭上から聞こえたのは康平くんみたいな声。



思考回路が停止して、涙がピタリと止まる。