もしかしたらマンションの下にいるんじゃないかと、リビングのベランダから下を見下ろす。
…けどやっぱりいない。
二日酔いで痛む頭に加えてこの自分の号泣っぷり。
ふと、目に止まったのはダイニングテーブルの上にあるお菓子屋さんの箱。
「こ、れ…」
私が食べたいって言ってたマカロン。でも高くてずっと康平くんにおねだりしてたもの。
そのたびに康平くんは不機嫌な顔して『こんな甘ったるいもののどこがいいの』って言ってた。
『なんでそんなこと言うの美味しいよ!』と私が少し拗ねれば、少し困った顔して手を握ってくれたっけ。
ああ、優しさしかなかったな康平くんは。
せっかく買ってきてくれたマカロンが涙でぼやけて見えない。



