「ねぇ、知ってる?」




「…え、と」

「行こうよ!カラオケとかぱーーっと!」

「…いや、でも、」

「いいじゃん!」


男の人が私の手を掴む、その手が。別の手によってバジンと叩かれる。




「あい。」




後から聞こえた声に振り向こうとして刹那、首元に回される腕と同時に香る大好きな匂い。



「こうへ、いくん」


「へー、俺から離れて他の男といちゃついてんの?」


耳元で囁かれた康平くんの言葉に鳥肌がたつ。
ちらっと康平くんの顔を見たら口角は上がってるけど全く目が笑っていない。



「これ俺のなんで返してもらいますね。」


「え、ああ、すみませんでした!」



男の人も康平くんの静かな圧に気づいたのかすぐに去っていった。




「はぁ、いい度胸だね。あい。」



低い声とは反対に康平くんの私を抱きしめる腕は強くなる。