「ねぇ、知ってる?俺がどれだけ心配したか。」


耳元で聞こえる声。


「っ、ごめんなさい」


「ねぇ、知ってる?昨日無性にあいに会いたくて早く仕事切り上げて帰ってきたこと。」


穏やかな彼の口調。


「っ、知らないよ…」


私の涙がぽつりぽつりと彼のカーディガンにシミを作る。


「ねぇ、知ってる?あいの喜んでる顔みたくてマカロン買ってきたこと。」


「っ、うん、」










「ねぇ、知ってる?俺がどれだけあいのこと好きで、大切にしてるか。だから嫌いになることなんてないよ。」









「…私も康平くん大好き。」



「意地悪しちゃってごめんね。」



「ううん、私こそ本当にごめんなさい。」


ソファーの上で正座をしてぺこと頭を下げる。



「次はちゃんと連絡してね。」



そう言って彼は泣きじゃくる私のまぶたに優しくキスを落とした。


…口にはしてくれないんだ。






「なに、キスしてほしいの?」






私のことを見透かした意地悪な笑顔。素直にこくりと頷けば一瞬驚いた顔をして触れるようなキスをくれた。


fun.