思わず、ぼうっとボケていた頭が叩き起こされた。
欲しがっていた。
窮地の一言、だったとしても。
聞き捨てならん!汗
厚い胸を押し返す。
「何、違うの。」
『“俺も”って、何!?』
「そんな顔してたから。」
そんな、顔?!
確かにまじまじ見つめたかもしれないけれど。
好き、が。
漏れていたかもしれないけれど。
『・・・そん、』
柔らか、く。
啄まれた唇に、思わず瞳を閉じたら。
「違うの?」
肩肘付いて私を見下ろす、サディスティックな微笑み。
そんな目で見られたら。
私はやっぱり、ぐうの音も出なくって。
『・・・。』
悔しい、けれど。
甘く濡れたこの瞳に、まぁもういいかとも思う。
『違うよ。』
よく見知ったはずのこの男が。
まだまだ足りなかったのは、私の方だ。
『“私も”、愛してるよ。』
驚いたように、目を丸くしたと思えば。
「ふはっ、、、笑」
横顔を破顔させて。
徐々に部屋へ入り込んでくる、朝陽を一身に集める。
「そりゃ、よかった。」
愛しそうに笑う、この人を。
絶景、だと思う。
この景色を、明日も明後日もその先も。
少しずつ老いていく、その様も。
変わらずここから、見上げたい。
老いた姿にも会ってみたい、なんて。
こんな感情、生まれて初めてだ。
「なに笑ってんの。」
『内緒。』
ついに朝陽が、部屋中を真白な光で満たして。
私が込み上げる温かさに、瞳を閉じたのと。
彼の柔らかさが唇を塞いだのは。
ほぼ、同時だった。
毎日生まれ変わる、新しい世界の中でも。
やっと見つけた光を、もう見失わない。
どんな世界が、訪れようとも。
「理沙子。」
私の世界には、何度でも貴方の光が差し込んで。
私は、何度でも。
貴方を見つけて、恋をする。


