at office “earth”







「失礼します。」


秘書が開けてくれた扉の前でお辞儀をし、中に入る。


書類が散在する机から目を上げ、手を止めて倫さんは微笑んだ。
本当にこの人は、どんなときも自分のスタイルを失わない。

どんなに忙しいときも、誰よりも辛いときも。
ひたすら、むちゃくちゃかっこいい。

俺が子供だったら、「大きくなったら倫さんになりたい!」とか、素直に言うんだろうな。






「ありがとうな。そこ、座って。」


俺が応接セットのソファーに座るのと同時に、秘書が運んできたコーヒーは。

planetの去年のツアーグッズだった、青いチェック色のマグから、温かさと湯気を放っていた。












「で、問題なしってことで?」

倫さんは、社長椅子を立つと、俺と同じ青いマグに手を伸ばした。



「はい。まぁ、陽斗の反応がある意味問題でしたけど。笑
それも想像の範囲内だったので。一旦、こちら側は大丈夫です。」

「そうか。こちらも、理沙子の店には長期休暇の了承もらえたから。
損失が大きいとかなんとか言われて、脅されたけどね。今年は接待費の予算上げないとな。笑」

「えっ、じゃあ_______」

「いや、まだ理沙子自身の説得が終わってない。」



急に渋い表情で、黙ってしまった倫さん。
何かを考え込んでいる様子で、ゴクリとコーヒーを飲んだ。









倫さんの様子で、今回のミッションにおいて。どうやら彼女が最難関であるらしいと気づいた。





これから俺たちは。

今年の“earth”の社運を、彼女に賭ける。