主人のいなくなった部屋で。
落ち着かない私は、静寂から逃げようとステレオに触れた。
再生中のCDが入ってたのか、すぐに軽めのロックが流れ出す。
誰だろう?これ。
いい感じ。
好きかも。。
そういえば、航大の車で流れる曲、いいなと思うこと多かった。
冷蔵庫・・・は、開けるのが憚られて。
キッチンのウォーターサーバーから、お水を飲んだ。
ますます、生活感のないキッチン。
一度も使ってないんじゃないかと思うほど、シンクもクロスもピカピカで気持ちいい。
・・・こんな綺麗だと、女の影とか考えちゃうんですけど。
あの彼女は?
ここには来てないのか?
“ちゃんとして、もう一度迎えに来るから”
あの夜の、今日とは違う腕の強さが急に蘇って。
慌ててふるふると首を振りながら、キッチンを退散した。
ふぅ・・・
チョコ、早く来ないかな・・・
チョコまで巻き込んでしまって申し訳ないという、辛かった気持ちは嘘のように消えて。
もう玄関に座って待ってようかと思うほど、待ち遠しい。
しかし、いい部屋に住んでるなぁ。
何部屋あるんだろう?探検できそう。
何よりも、リビングの壁一面に広がった大きな窓はまさに私のツボ。
六本木の、私の城ほどではないけど。
近づけばキラキラと星のような夜景しか見えなくなって、胸がすっとする。
こんな部屋で寝起きしてるなんて羨ましい。
コロン、と床に横になってみる。
気持ちいいなぁ・・・
ここの子にしてくれないかなぁ・・・なんて。