それからはできるだけ一人にならないように気をつけて過ごしたから、先輩に絡まれることはなくなった。


6月下旬。


「もー、ムシムシして暑い!!」


いよいよ夏本番を迎えようとしていて、しかも雨の日が続くから憂鬱。


三河先生は席替えをあんまりしないタイプみたいで、今も変わらない席。


「そろそろテストだね」


石沢くんは下敷きでパタパタ扇ぎながら言う。


「ほんとだよー、最悪だぁ」


花怜は机にうなだれている。


「嫌だねー」


花怜は頭はいい方。


石沢くんはどうかわからないけど。


でも私は「バカ」だから…。


困ったなぁ。


特に数学と社会が壊滅的。


高校も足切り点で危うく落とされるところだったに違いない。