な、なんで……。


困惑する頭の中、電話で結月が颯介の居場所を伝えてくれて、その場所へ向かって全力で走っていた。


石沢くんも後ろから追いかけているようだけど、そんなのは気にしなかった。


「はぁはぁはぁ……」


「……花怜」


懐かしい、優しい声。


私の名前を呼ぶその声は、紛れもなく颯介。


「そ、颯介……」


私は他人目を気にせず、颯介の腕の中に飛び込んだ。


きっと私が結月たちの前でこんな風になったのははじめて。