今まで回った屋台、全部優季が払ってくれている。


「ほんとにごめんね」


「いいよ、好きでやってるんだし」


次は何がいいかなぁ、なんて喋りながら二人で歩いていたら、私は見てはいけないようなものを見てしまった。


思わず立ち止まって"彼"を見た。


そう、高橋颯介くん、花怜の彼氏。


ロサンゼルスに行ったきり、遠恋になり、音信不通になったあの高橋くんがいったいなぜ、今ここに……。


「結月?どうかした?」


私の視線の先をたどった優季。


優季も高橋くんを捉えたけど、優季は高橋くんの顔を知らない。


「あいつがどうかした?」


訝しげに私を見つめる優季。