スーパーに着く頃は、もうタイムセールが始まっていた。



ここからは主婦たちの戦争だ。



私も主婦の間に入り、お母さんご希望のジャガイモと卵、人参が手に入った。



今日の夕飯は、カレーライスだろう。



最近カレーのルーが溜まっていたからな。



お会計を済ませ、家に帰るべくスーパーから出る。



先ほどまでの暖かさが、私の体から逃げていく。



やはり、寒い。



冷たい風がスカートをなびき、タイツ越しの素肌にあたる。



「やっぱり、もう1枚重ね着した方がよかったかな……」



裏路地を抜けて近道をしよう。



我が家は、スーパーから少し離れた住宅街にある。



「ただいまー」



「あら、おかえり。百合ちゃんたちが来ているわよ」



「え?部屋に?」


お母さんが持っていたお茶3つを、私が受け取り、階段を上がりすぐ右にある自室に入る。



「おかえり〜凛。勝手にお邪魔させてもらったよ〜」



「ううん、いいの。ゆっくりして」


1度家に帰ったのだろう。



百合と中月くんは制服から、私服に変わっていた。