百合が一緒にいる時はともかく、百合がいない教室に私と中月くんが一緒にいるというのは、非常に珍しい。



そして、私の頭の中はパニック中である。


元々中月くんは口数が少ない人で、私とはあまり話さない。



常に1人か、百合と一緒にいるかのどちらかしか見たことがない。



何も発さない無言の空気が漂っている我が教室は、百合待ちの私たちだけである。



何か話した方がいいのか、それとも百合が委員会終わるまで無言を貫くか。



この2つの選択が、頭の中をぐるぐる回って私を悩ませる。



話す、とはいえ、私にはそんなスキルもなく、話題もない。



だったらここはと、平和な無言を貫くことを選択した。



「お待たせ〜蒼!」



少し時間が経てば、百合が委員会を終わらせて中月くんに駆け寄ってきた。



ここに私の居場所なんてないのは、目に見えている。



しかし、どうしてだろうか。



カップルを邪魔となる私を、わざわざ百合はこの輪の中に率いれてくれるのか。