空の果てに、願いを込めて

そんな眼差しを中月くんに向けるが、彼のことを知らない私にとっては、彼がこの気持ちを受け取ったのか否かわからないことである。



休日だし、百合はお仕事かな。



お嬢様でもきちんとお仕事はしますよ。



百合に以前言われた言葉が、ポンッと頭に浮かび上がった。



「今度」


「え?」


「今度来た時は、チョコ味のクッキーで」



バスケットのクッキーは、もう既に空っぽである。



そこまで1人で食べてしまったのか、このお方は。



「了解しました。別に今度じゃなくても学校に持っていけるから」



「……学校じゃ、ダメ」



バスケットを片付けるために、おばあちゃんのように腰を持ち上げ立ち上がる。



その際に小さな声で聞こえてきたのは、中月くんの子供地味た意外な声だった。



なんだ、意外と可愛いことするじゃん。



クールと言われ、女子からも男子からも尊敬と言うよりも、人気のあった姿なんかじゃない。



中月くんの素の姿なのかもしれない。



本人の前で、少し笑ってしまった。