桃色恋模様




あれ。
っていうかさ。


「卓。今さ、アタシのこと、凛って呼んだ?」

「はあ!?お前、頭大丈夫か?」


やっぱりそうだよね。

でも、アタシの耳には聞こえたんだけどな。


ま、いっか。

卓と帰れるんだし。


「卓、帰ろう!!」


アタシはいつもみたいに、卓の腕に抱きつく。


でも、今日は、

「くっつくな!!」

とか言って、アタシのことを引き剥がさなくて。


「・・・卓?」


思わず名前を呼んだ。


「あ?何だよ。」


卓は普通に答えるし。


なんか、今日の卓、変だよ?


体育のとき、目なんて合うし。
放課後、アタシのこと待ってるし。
凛なんて呼ぶし。


なんか、アタシが調子狂っちゃうよ。


「ねえ、卓、あのさ・・・」


何かあったの?


そう聞こうと思ったのに。


「卓く~ん!!」


甲高い呼び声に遮られた。