そうしてふたりを待っていると―――
あ、きたきた。
「よっ」
そう言って登場したのは那央。
「わり、遅れた」
と、慌てたように駆け込んでくる颯(ハヤテ)。
「どうせ、先生に怒られでもしてたんでしょ?」
毒舌な芙花。
でも、その言葉に棘はない。
「心外だな。雑用押し付けられてたの」
不満そうな声とは裏腹に、どことなく楽しそうな颯。
戸谷 颯(コヤ ハヤテ)、那央の中学からの親友。
那央と同じくバスケ少年。
ぱっちり二重に人懐っこそうな笑顔。
動物に例えるなら間違いなく、犬!
「雑用って何だよ」
「社会の資料、職員室まで運べって。」
「水Tじゃん」
「ドンマイだね」
わたしたち4人は中学からの仲良しグループ。
いわゆるいつメン、ってやつ?
一緒にいて楽っていうか、安心するんだよね。
わたしにとっては家族みたいな存在、かな。

