「じゃ、いってきまーす」
自転車にまたがってお母さんに手をふる。
「ふたりともいってらっしゃい、気をつけてね。」
玄関から出てきてわたしたちに手をふるお母さんに、ふたり揃って返事をする。
「「はーい」」
いつもの朝。
小学校の頃からなんにも変わらない。
わたしたち、ちゃんと大人になってるのかな、って不安になるほどね。
「七瀬」
「ん?」
「来週の日曜、大会だから空けとけよ」
「ん、わかった。めっちゃ応援してあげるから」
「それは心強いですな」
「ですな」
これもいつものやりとり。
那央は小学校からミニバスやってて、中学では県大会準優勝。
惜しくも全国大会までは進めなかったけど、めちゃくちゃ強かったんだよ。
あ、今も強いよ?
で、県内トップ、3年連続インターハイ出場の実績をもつこの高校を受験したってわけ。
もちろん、大会の応援に行くのもお決まり。
県立総合体育館って広いんだよね。
エアコン完備だし。
客席の数も半端じゃないし。
わたしは立って応援するけどね。

