「なぁ。まただってよ。」

薄暗くも騒がしい酒場で
男が言う。

黒く
細かな波を打つ髭を生やし

継接ぎだらけの茶色く
汚れた服を着た男は、


隣に座る
深緑のマント纏う男の返事を待つ。



「なぁ。聞いてるか?オニーサンよぉ〜。」



挑発じみた様子で
男は彼のマントを軽く揺さぶる



するとマントに包まれた頭が
縦に振られた。



男はそれを見ると

「なんだ。聞いてんじゃねぇか。」

といって乗り出した身を
元の場所に戻した。




「『また』とは…どういうことなんだ?」



マントから
重低音の響く声が漏れた。




男は一瞬目を見開いて彼を見た。




「おいおい〜。
知らないなんてことはな……



ってあんた。異国の奴か!!」



マントで覆われていた髪が
露わになり


男はまた目をひん剥く。