てっきり一緒だと思っていたバレンタインのチョコが、僕のだけ毎年違っていたことも、明も僕への卒園式の一言が自分の一方通行だったのではと悩んだ時期があったことも、あまり多くを語らない僕の好みを知るために聞きやすい暁と同じ部活に入ったことも、僕はこの時初めて知った。
明がこんなに健気に努力してくれている影でウジウジしていた自分が隣にいることが恥ずかしくなった。
中学生のプロポーズなんて知れたら、またみんなにからかわれるだろう。
だけど僕はやっと、明の目をまっすぐ見て笑いかけ、そのか細い右手を握った。
僕に、暖かい春がやってきた。